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REAL-未来の戦争 I-

ここは米軍基地内にあるガソリンスタンド。電気自動車が普及し、従来の自動車が記憶の片隅に追いやられて久しくなったこの時代、アメリカ国内でたった一つ残されたここは、軍にとって重要な役割を担っていた。


給油担当のダニエルは、同僚たちと共に給油タンクの前に立ちながら何かを待っていた。しばらくすると、向こうから何か人影のようなものが群をなしてやってきた。それらは一列に並び直すと、ダニエルの方へ向かってやってきた。ゆっくりと近づくにつれに見えてくる大きな巨体。おそろいの迷彩柄に塗られたそれは人型ロボットだった。四、五体ほど束となってやってきたそれは、それぞれ少し距離をおいた状態になった後、次々と給油タンクの前で止まった。ダニエルは、その一つが目の前に停まるのを確認すると、こう呼びかけた。

「やあ、ジム」

すると、ロボットの上半身が開いて、中から笑顔の若者が現れた。

「よっ、ダニエル!給油にきたぜ」

この操縦席から手を振っているこの若者は、ダニエルの同期にして、一番仲が良いジムだ。彼は、軍が開発を進めている戦闘用ロボットのテストパイロットの一人に選ばれたのだ。


ダニエルは、給油ダクトを取り付けながら迷彩柄に染められた巨体をまじまじと見つめた。

「それにしても、すごいな」

「すごいだろ? 」

操縦席の上で、ジムは鼻を鳴らした。

「まるで映画とかゲームの主人公になった気分だよ」

「そうか……」

どうやら、彼は軍人としての誇りというより、昔憧れたロボットに乗ることができて嬉しいという気持ちがまさっているようだ。

「今、模擬戦をやってるんだけどさ、まるでゲームをしているみたいで楽しかったよ」

「……」

「これから、こいつで敵をボコボコにしていくのが楽しみだよ」

そう楽しそうに話すジムを、ダニエルは悲しげな目で見つめていた。


数年後。ジムは中東の某国にいた。彼はテストパイロットとしての経験を買われ、ロボット部隊の一員となった。彼は、戦車や歩兵を昔憧れていたヒーローよろしく攻撃していった。もはや彼に怖いものなどなかった。ロボットに搭載されている軍事用OSがいろいろサポートしてくれるから。そのせいもあってか、ジムはハイになっていた。それ、潰せ潰せ!その勢いで進んでいるうちに、彼はぐちゃあ、という音と甲高い悲鳴を聞いた。

「なんだ?」

胸騒ぎを感じたジムは急いで下へ降りた。

「……」

そこにいたのは血だらけで倒れている少女だった。

「おい、大丈夫か?」

彼はそう彼女を揺すったが、もう手遅れだった。人を殺してしまった。ジムの胸に深い絶望が広がった。今のおれはヒーローなんかじゃない。ただの人殺しだ。彼はその場にうなだれた。

(終)