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デジタル・ゴースト-Ship of Theseus Ⅱ-

墓地を巡るのが、好きだ。死者の人生を垣間見ることができるから。でも、最近は技術の変化によって、生と死の境界線が曖昧になっているような気がする。

「みちる、この間、友達とドライブに行ってきたよ」

おれは、今パソコン越しに一人の女性と会話している。

「へえ、楽しかった?」

会話の相手は、おれの婚約者のみちるだ。

「楽しかったよ。特に展望台から見える夜景は素晴らしかった。みちるにもみせてやりたかったよ」

「いいなぁ。今度わたしも連れてってよ」

彼女は頬杖をつきながらにっこりと笑った。

「ああ、機会があったらな」

おれは、みちると会話しながらも、虚しさを感じていた。なぜなら、彼女はすでに亡くなっており、今おれと会話しているのは、サーバー上にアップロードされた意識を元に再現されたバーチャルの幽霊だ。

「ねぇ、なんか元気ないようだけど、大丈夫?」

そんなみちるは、生前にそうしたように、おれの顔を上目遣いで見た。おれは混乱した。今目の前にいるのは、本当のみちるなのか、コンピューターが生み出した紛い物なのか。

「……」

「ねぇ、だまってないで答えてよ」

「みちる、ごめん」

おれは、パソコンの電源を切った。

「え、ちょ……」

画面がプツンと真っ暗になった瞬間、おれの目からは涙が溢れ出た。みちる、本当にごめん。今の君はまだ受け入れられないよ。そう思えば思うほど、涙は止まらなかった。