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今日のショートショート #11 「スキー場のヒーロー」

二〇XX年 十二月某日 その日は、スッキリと晴れた空が広がっていた。ここは日本のどこかにあるスキー場。 そこではたくさんの人々がスキーを楽しんでいた。澄み渡る空の下で躍動するたくさんの笑顔たち。それらをスキー場を望める崖の上で、見つめる者がいた。

「ちぇっ、どいつもこいつも」

そいつは、人々が楽しそうなのが気に入らなかった。笑顔を見るとなんだか胸が激しくムカつくのだ。ついにイライラは頂点にまで達した彼はついに外に出ることにした。

数分後。白昼のゲレンデにそれは降り立った。現れたのは、全身が白い毛に覆われた猿か人間のような生き物だった。

「何あれ」

「雪男かな」

スキー客がざわつく中、怪人は跪くような体勢になると、雪が積もったゲレンデの斜面を思いっきり拳で叩いた。すると、ゴゴゴという音がした後、激しい轟音と共に雪崩が発生した。人々はなすすべもなく、逃げ惑った。

「はっはっは、どうだ」

勝ち誇る怪人に、誰もが希望を捨てかけたその瞬間、どこかから声がした。

「ちょっと待った」

「なにぃ?」

声のした方を見ると、雪崩の中を一人の若い男がスノーボードで滑っていた。彼は、雪崩をもろともせず、スイスイと滑っていた。

「くそっ……邪魔が入ったか」

怪人は右手から破壊光線を放った。しかし、若者はそれをスノーボードに乗ったまま、余裕で避けた。

「貴様、なにものだ」

怪人がそう言うと、若者はこう答えた。

「通りすがりのスーパーヒーローだ」

彼は宙を舞ったまま、両腕を胸の前でクロスさせた。そうすると、全身が青く輝き、地面に着地した頃には、青いスーツをまとったヒーローの姿になった。

「なんだと……?」

驚く怪人を尻目に、ヒーローは余裕綽々でこう言った。

「今度はこっちから行くよ」

ヒーローは、怪人の周りをぐるぐると滑りはじめた。何度もぐるぐるしているうちに周りに飛び散っていた雪は、次第に竜巻になっていった。そして何度目かの周回の時にそれは怪人を飲み込み、吹き飛ばした。

「くそっ、覚えてろ」

怪人はそう捨て台詞を吐いて去っていった。